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Memory of Night 2
第33章 撮影旅行前夜

それに、明後日の夜は旅行に参加する店のメンバーで忘年会の予定だった。土方が酒や料理を準備してくれるというので、高級なものが揃うに違いない。そういう理由で、今日は休肝日だ。
「……震えとか出てない?」
「出てねーよ、さすがに」
春加はスマホ越し、ふん、と鼻を鳴らす。
そこまでアル中ではない。
亮は通話の向こうで楽しげに笑っていた。
「旅行の翌日は年明けだな」
「店開けるの四日からだろ? ちゃんと貼り紙してきたよ」
「ありがとう。よくよく考えれば、もっとこっちでのんびりしても大丈夫だったね」
腹が立つほど呑気な声に、春加はため息をつく。
「何言ってんの。大掃除だってしなきゃだし、食事のメニューも増やすんでしょ? 客が居ない時じゃないとできない作業はたくさんあるんだよ」
店は開けないが、二日から普通に出勤にはなっている。
「……仕事に関しては真面目だよね、本当に。初詣とか行かないの?」
「面倒くさい。そもそも、神様なんて信じてないし」
「それでも、形だけでも願っておけばいいじゃない。叶ったらラッキーくらいで」
それもなんだか罰当たりな気がするが、イベント行事なんて大概がそんなものか、と思う。

