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Memory of Night 2
第34章 衣装合わせ

心の中を読まれてしまったらしい。使い道が他にあるなら、無駄にならなくていい。
だが、肌着が無いのはかなり抵抗がある。
「大丈夫、撮影場所は外だし、ここで着替えて洞穴に行くまでの間、ロングコートを用意してあるからそれを羽織ってもらうつもり。もちろん防寒用の対策で手袋やマフラー、カイロ、温かい飲み物なんかもこちらで準備するから。本当に撮る瞬間しか、着物姿になることはないよ。今も、どんなメイクにするかちゃんと決めたいから、しっかり着てもらうだけだから」
亮が丁寧に説明してくれる。
宵と晃はつかの間顔を見合わせた。
「いい?」
「うん」
今さら嫌だと言っても、もうどうにもならないところまで来てしまっている気がする。
宵の意思を確認してから、やがて晃がスタッフ達に向かって言った。
「わかりました。浴衣の着せ方でいいんですよね?」
「Yes!」
「では、宵を着替えさせる間、皆さん部屋を出ていっていただけますか?」
「うん、わかったよ」
笑顔で答えるマスターの亮。ぞろぞろと廊下に出ていくスタッフ達を少し申し訳ない気持ちで見送りながら、宵は羽織っていた着物とその下のティーシャツを脱いだ。

