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Memory of Night 2
第35章 同室者

「ーー……」
晃と宵は亮の体に釘付けになった。
肩や腕にびっしりと描かれた、竜や花の刺青。密度の高い美しい和柄が褐色の肌を彩っていた。
亮の普段の温厚そうな表情にはおよそ似つかわしくないはずのタトゥー。けれどなぜか、不思議と違和感はなかった。
「……やっぱりそっちの人なんですね」
晃は素直なままの感想を告げた。そんな気配はずっとしていた。
「昔だよ。今はとっくに足洗った。ーーけど知ってる? 刺青って、入れたら消せないんだよ」
亮はそっと、肩の花を二本の指でなぞった。
「それに、簡単には切れない関係もある。一度踏み入れたら、なかなか真っ白にはなれないし、お日様の下にも戻ってこれない。そういう場所って存在するんだよ。ーー君たちは知らなくてもいい世界だけどね」
亮の声はまるで子守唄のように、耳障りがよく柔らかかった。
上半身を覆う模様だけが異彩な威厳を放っている。
「……ハルちゃんもまだ戻れる。お日様の下で、まっさら人と結ばれた方がきっと幸せになれる」
その言葉はおそらく本心だろうと、晃には感じた。
宵もそれ以上は何も言わなかった。
亮はシャツを羽織直し。前を留めながら明るく言う。

