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Memory of Night 2
第36章 洞穴

「煙が出て虫を退治してくれるやつ」
「いや、これ、外で意味あんの? 八畳くらいの部屋で使うやつじゃん。しかも蚊とかノミとかの」
「だから三つ持ってきたんじゃん。まあ、気休め? 人体に害のないやつ選んだから、一晩置いとくか」
真冬に蚊がいるとは思えないし、なんなら洞窟に棲むような虫に効果があるか謎だが、春加が決めたことなら従うほかない。
「じゃ、もう終わり? 帰ろー」
「No! 宵ガ居ルノニ、帰シマセン」
「……え?」
「明日ノ、撮ル場所見ツケル、OK?」
(全然オッケーじゃねーよ……)
そういえば、明日撮影が早く終わるようイメージを固めるとも言っていた。
当たり前に寒いし早く帰って暖かい部屋で温かい夕食にありつきたかったが、拒否できるはずもなく。
「アメリア先生、ではあとはよろしくお願いします。あたしはちょっと煙草吸ってくるんで」
春加は返事も待たずに、洞窟を出ていく。
アメリアは肩にかけていたバッグを外し、地面に放った。
「汚れますよ?」
「No problem! 安イ、SALE品ダカラ、平気ネ」
いや、そういう問題でもないだろうと思うが。
地面は特に濡れては居なかったが、洞穴全体が湿っているのだ、なんか外よりも汚れそうだ。
「宵、ソコ立ッテミテ!」
もう場所決めは始まっているらしい。
宵は小さく頷いて、示された場所に行くのだった。

