この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱

ふいに、ペットボトルの光が消え真っ暗闇になった。
「……びっくりした」
「アメリアのスマホの充電が切れただけだろ」
「早っ。まだ充電結構あったと思ったけどな。どんだけ古いんだよ、消耗すんの早すぎじゃね?」
ぶつくさと文句を言いつつ、宵は立ち上がった。折れた左足を庇い、ゆっくりと。
自分のスマホのライトで周囲を照らし、ペットボトルの下のアメリアのと自分のを交換する。
そうしながら、千鶴を振り向いた。
「可哀想って思ってたってことは、まだ嫌いじゃないんだろ? そのあと何があったの?」
宵の声はどこまでも冷静で、淡々としていた。
千鶴は口を開こうとして、酷い喉の渇きを覚えた。
反射的に起き上がろうとしてしまい、脇腹の痛みに呻く。
「……宵、あたしのバックに水が入ってるから、取って。ずっと話しっぱなしで疲れた」
「じゃあ、休憩しとけ」
宵は千鶴のバッグを漁った。ペットボトルの水を見つけ、そばまで持ってきてくれる。
「……タバコ吸いてー」
「ダメだっつの」
宵は腕時計を見た。
「……閉じ込められて、もう三十分以上経つ。アメリア先生、屋敷に戻れたかな」
「さあね」
千鶴は首を振った。洞穴内の酸素はあとどのくらい持つのか。
死へのカウントダウンは、とっくに始まっていた。

