この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱

 千鶴は一拍ほど間を開けた。無意識だった。

「ーーどこにも無かったんだ、あの辺鄙な田舎町に桃華の居場所なんて」

 瞼を閉じた。
 だからあの日出ていったのは、最善の選択だったはずだ。桃華なら、知らない町でも都会でも、どこでだって生きていける。
 だってずっと、彼女は一人だった。

「おまえに親や故郷の話をしなかったのも、忘れたかったからだろう? そこで生まれ育ったことも、暮らしていたことも、全部無かったことにしたかったから……」
「ーー雪」
「……は? 雪なんて、あるわけないだろここに」

 唐突に宵が呟いた。洞穴に閉じ込められているのに、そんなものが見れるわけない。一体なんの話だと千鶴が怪訝な顔をする。

「そうじゃねーって。東北出身で一個母さんのこと思い出した。……雪見ると、なんか楽しそうだったなーって」
「楽しそう?」
「よく外眺めてたんだよ、窓から。関東じゃ、あんま降んねーじゃん。物珍しくておおってなることはあったけど、母さんの顔はそういう感じでもなくて。……懐かしいって思いながら見てたんじゃねーかなって思うんだよね」
「懐かしい……」

 千鶴は復唱した。
 故郷での日々を、振り返ることなどあったのだろうか。
 ーー故郷を出て大きな幸せを手にしていた彼女に。
/836ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ