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Memory of Night 2
第7章 緊縛イベント

そして、時刻は九時過ぎ。ハプニングバーローズの薄暗いスタッフルームに、小さな火が灯った。それは煙草だった。
紫煙が立ち上る中、不意に部屋の明かりがついた。
「おや、こんなところでおサボりかい?」
「…………一服休憩です。終わったら戻ります」
眩しさに眉を潜め、春加は顔を上げる。ドアの前に立っていたのはこの店のマスターこと、三浦亮だった。
ローズのフロアは喫煙可能だが、スタッフは原則煙草は吸えない。喫煙所も特には無く、吸うのが許されているのはこのスタッフルームだけだ。
「マスターはもうお帰りですか?」
「うん、僕はもう帰るよ、イベントも無事終わったみたいだしね」
そう言って、おもむろに春加の向かいに腰を下ろした。
亮もスーツの胸ポケットから自分の煙草を取り出し、咥える。かちっとフィルターを噛み砕き、ライターを探す。
「どーぞ」
春加はすかさず自分のライターで亮の煙草に火を付けた。
「ありがとう。今回の緊縛イベント、だいぶ盛り上がってたね」
「……予定してたものよりずいぶん過激になっちゃいましたけどね」
春加の予定では、誰もが楽しめる、あるいは気軽に緊縛に触れることができる軽いイベントのはずだった。土方の相手が宵ということもあり、過激さやエロさは求めていなかったのだが、いつの間にか土方が手本で縛る人物が露出した女性に替わっていて、かなり異様な雰囲気になってしまっていた。

