この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
玉蘭花の香り
第6章 認めて欲しい
食事会は和やかに進んだ。


「仕事で台湾にということなら、
ロンと一緒に住んだらどうかな?」とロンのお父様が言うと、

「それは良い話だ。我が家に同居も良いな」とお祖父様も言った。

「うちみたいな大家族にいきなり入るのは美香さんが気を遣って可哀想だよ。
マンション買って別居が良いんじゃない?」とお兄様も言う。


「頭が古いかもしれませんが、
結婚前に同棲と言うのはどうも…」と父が遠慮がちに口にすると、

「だったら、結婚を先に!
夏のうちにどうですかな?」と嬉しそうにお祖父様が言う。

「式は日本と台湾とで挙げたいですな」

「先に届けを出しておいたら?
ちょっと良い日を調べても?」


話がどんどん進んでいくので、
ロンと私は呆気に取られてしまった。


ロンのお兄様と私の弟が声を揃えて言った。

「ちょっと落ち着いてよ」

「本人達の意見はどうなの?」


ロンのお父様が、頭を掻きながら言った。

「申し訳ない。嬉しくてつい。
ロンと美香さんはどう思う?」


「僕は…
今直ぐにでも美香さんと結婚したいし、
美香さんが台北に来るなら一緒に住みたいと思ってます。
美香さんは?」

「私も…。
でも、結婚式はもう…。
届出だけで充分です」


「まあ…美香ちゃん。
可哀想に…」と母が涙ぐんでしまう。


「だったら、日本では届けを出すのと、
親族だけのひっそりとした式にすれば良いんじゃないかな?
台湾では…ロンさんの家の規模からすると、
そういうわけにはいかないんじゃないかと思うよ?」と、
弟が冷静に言った。

「届けだけしておけば、
子供出来ても順番違うとかにはならないでしょ?
式は…真夏は辛いからな。
紅葉とか桜が綺麗な頃が良いんじゃない?
フォトジェニックだし」と、呑気に笑いながら弟が言うので、
皆、笑ってしまった。



ロンが改めて口を開いた。

「それでは、今日がみんなに僕と美香さんの結婚を認めて貰った婚約の日ということで良いですか?」

皆が頷く。


ロンのお祖父様が盃を持って立ち上がる。

「さあ、立ち上がりましょう。
一番の年長者として、
乾杯させて貰うよ。
2つの一族の結びつきを祝い、
末永い繁栄を願って…
乾杯!!」


私はロンを見上げて笑おうとしたが、
涙が止まらなかった。
/114ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ