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玉蘭花の香り
第7章 暗雲
最後の登校日になった。
挨拶も無事に済んで、暑い時間帯に校舎を出た時だった。


2年生のサッカー部員が、
「先生、先輩達が挨拶したいって、部室に集まってます」と声を掛けてきたので、
部室について行った。

部室前まで来ると、
「僕は補講があるので、これで!」と言って、
踵を返して校舎の方に戻ってしまった。


部屋に入ると、3〜4人ほどの3年生と一緒に、
二度と会いたくないと思っていた駿が居て、身体が固まってしまう。


「どうして?」と後退りすると、
後ろに居た男子が私の両肩を掴んだ。
鍵を掛ける音もして、パニックになる。


「お前のせいで、人生がメチャメチャになったから、
仕返ししたくてさ。
声を掛けたら、こいつら、美香先生とヤリたいって言うしな」と信じられないようなことを口にする。


「こんなこと、明るみになったら、
生徒達の将来が…」


「お前が言う訳ないだろう?
学校でレイプされたとか言ったら、
マスコミとかのいい餌食になるよ?」


「駿先生、服とか、脱がせても良いんでしょ?」


「せっかくレイプするんだから、もっと手荒くやった方が興奮するぞ?」と言って、小さいナイフを出して見せる。


「自分で脱げよ?
嫌なら服を切り刻むぞ」と言って、
私の方に近付いてくる。

後ろから押さえられていて、それ以上下がることは出来ない。
怖くて声が出ない。
脚も震えてしまう。


ブラウスに手を掛けられて、ボタンを引きちぎるように荒々しく前を開けられると、
キャミソールが覗く。


「おおっ!すげえ。
美香先生、巨乳だよな」という声が聞こえる。


「やめて!お願い」と涙を堪えながら言うと、

「うわ。堪んねえな。
ほら、泣けよ。余計に興奮する」と駿は言った。


駿が私を押し倒して馬乗りになって、
ナイフでキャミソールとブラジャーを切り裂く。


「やめて!嫌っ!!」と身体を捩ると、

「ほら。動くとナイフで怪我をするぞ?」言った。


私は、ロンのことを想った。
翡翠のブレスレットがヒンヤリと光った気がした。
何かされるくらいなら、
死んでしまった方が良い。


私はそう思って、目を開けて、
駿の目を見ると、
グイッと身体を前に出した。


冷たいナイフの切先が、胸の辺りに当たるのを感じた。


「ロン…」


私はそのまま気を失ってしまった。
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