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フレックスタイム
第7章 入籍と過去の女
「一応、ケンくんにも確認しないとね?」と、
佐々木先生が言って、
しゃがんでケンと目線を合わせるようにして言った。


「お父様は、百合さんと結婚するって言ってるよ?」

「知ってるよ?
ダディ、こんにゃくうびわをあげたもん。
でも、僕もこんにゃくうびわ、リリィにあげたよ?」と言って、
私の小指の小さい指輪を撫でて、にっこりした。


「それでね、百合さん、
ケンくんのお母様になりたいと言ってるけど、
ケンくんはそれで良いかな?」

「良い子にしてるとね、
リリィはマミーになってくれるから、
僕、良い子にしてたよ?
だから、マミーになってくれるんだよ」と、
きっぱりと言って、私に抱きついた。

「ダディが居ない時は、
僕がマミーを守るんだよ?
グランマも守るんだ」と言う。


「あれ?
リリィのお母様もグランマなの?
グランパも出来たの?
ナニーも戻ってきたから、
僕、守るのに忙しくなったのかな?」と言う。


「うんうん。
判ったよ。
じゃあ、社長、こちらに記入してください。
百合ちゃんもね?」と言う。

保証人の欄は、佐々木先生と父が書いて、
委任状も渡した。
「このまま、今日の日付で役所に提出しておきますね!」と言ってくれた。

そして、
「もしも、また、来るようなら、
警察呼んでも良いかもしれませんね。
あとは…幼稚園の送り迎え、
少し気をつけると良いかな?」と言い残して、
佐々木先生は帰って行った。


ホッとすると、目眩がしてしまい、
立ち眩みがした。
慌てて翔吾さんが支えてくれる。


「ごめんなさい。
緊張してたみたい?」と言うと、
抱き締めて額にキスをしてくれる。

「まあ、皆さまの前で恥ずかしいわ」と言うけど、
「百合は俺のお姫様だからね?」と言って笑う。


「折角だから、みんなでお夕食にしませんか?」とお母様が言う。

「翔吾さん、お仕事大丈夫でしたか?」と言うと、

「伊藤さんに接待の代行を頼んで来たから大丈夫だよ?」と優しく笑った。


「急にこの人数だと…古川さん、準備が大変じゃないかしら?」

「じゃあさ、外食にする?
いきなり、今日が結婚記念日になっちゃったし。
百合、予約して?」と笑う。


「承知しました」と笑って電話でお店の予約をした。


「あのね、古川さんも一緒にね?
家族と同じだから」と私が言うと涙ぐんでいる。


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