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そぶりをやめて
第18章 220日
「お花って。佳佑が?抱えてってどういう??」

抱えて、って、花束ってこと?
そんな、花束とか全然似合いそうにない。
イメージが全く追いつかないけど。

しかも、発表会とかでもないのに。
アルバイト先に、花束を抱えて持って来られても。

「...俺も花束ってどうかな〜、とは思ったんだけど」

またスマホが鳴り出して、今度は着信音だ。

「あ、え。姉ちゃんだ。...もしもし」

お義姉さんも来る予定だったのだろうか。

佳佑が電話に出ながら、リビングに戻って行った。
明らかに怒られてるっぽくて、ひたすら謝ってる。
怒られてるのが恥ずかしいのか、姉の声を聞かせまいとか、どんどん歩いて、暗い寝室でこそこそ話してる。

えらいこっちゃ。


ふと、思いついて、汐里もリビングで電話をする。

相手は、兄のお嫁さんの倫子ちゃん。
さっくり事情を説明する。
明日、なんとか少し開けたり出来ないかとお願いしてみる。

「うーん。明日は、ちょっと無理かなー。材料とか無いし」
「そうだよねぇ。ごめんね、急に」


「だけど。今度の祝日でよかったら、開けよっか。あ、そうよ。こっちも、お父さんとかまだ来てないし。親族で、かるーく集まっちゃう?」

まだコロナが完全になくなったワケじゃないから、大人数は無理だが。
時間制限とか、時間差とか使って、親族にお披露目会〜。みたいな。

汐里と成道の父親は、お店をやることに初め反対してたのもあって、まだ1回もお店に来てない。
もう反対とか言ってられないが、まだ冷戦状態らしく。

佳佑の両親が来るとなったら、ヘソを曲げてる父親もお店に来ざるを得ないだろう。

「いいね!そうして貰えると、大変助かる〜」

ちょうど電話を終えしょんぼりリビングに帰ってきた佳佑を手招きする。
汐里の弾んだ声に、若干不思議に思いながらも近づいてきた。

「じゃ、なーちゃんにもよろしくね!」
「うん。今お風呂だから、言っとく〜。おやすみ〜」
「おやすみ〜!」

電話を切った汐里が、いつの間にか佳佑と繋いだ手を振り回す。

「月末にもっかい祝日あるじゃん?」
「ああ。勤労感謝の日?」
「あそこなら、お店を特別に開けてもいいって」
「マジか!」

ざざっと説明すると、しおしおっとなっていた佳佑が元気を取り戻す。
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