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そぶりをやめて
第20章 260日
横に立つ佳佑の顔が見えないまま、早口に言い切った。

どんな反応をするのか。

前触れも何も無くイキナリだし。


「...お?...ん?なんて?」

聞こえなかったんかい!

リビングに来て、佳佑から離れて、椅子に座る。

大きく一呼吸して。

「病院まだだから、おそらく、だけど。...妊娠したと思う」

声が少しうわずってしまって。
なんだか、恥ずかしい。

カウンターの横に立っていた佳佑が、少し考え込んだかと思うと。

「あ、手、洗ってない!」

とコートを脱ぎながら洗面所に消えていった。


一言目がそれ?

ってか、一大発表だったのに、スルー??


まあ、仕方ない。

汐里も今日の昼まで、まったく気が付かなくて。

倫子ちゃんに「汐里ちゃん、妊娠してない?」って、言われて。
「まさか〜」って返して。

夕方になって、ちょっと帰って検査薬使ってみようかなって気になって。

それで、今に至る訳だし。


そういえば、スマホを探していたんだった。

手に握りしめているカバンから、スマホを取り出す。


なんて名前だっけか。
ゆーながかかった産婦人科が結構いいって評判のー。

「ごめん!手洗ってきた!」

大慌てで手洗いうがいして、息切れして佳佑が帰ってきた。
座る汐里の近くの背もたれに片手をかけて、そこにしゃがみ込んだ。

まだ肩で息をしている。

手を洗うだけに、そんな息切れする?
ってゆーか、手、まだ濡れてない?

「...マジか」

汐里を若干見上げている。
何かしらの緊迫感のような迫力があって、少し引く。

「だから、病院はまだだけどって」

「...じゃ、なんで分かったの?」

ひとと通り経緯を話す。

話してると、じりじり佳佑が隣まで寄ってきて、そっと手がにぎられた。

やっぱり、手がしっとりしてる気がする。

その動作ひとつひとつも、なんだかぎこちなくて笑える。

「で、病院をね。今予約しようと思って...」
「俺も行く」

は?え??

「有給、有給使う。育休も取る」

気が早い〜。

「汐里も、仕事、大丈夫?」

あー。確かに。
仕事内容はちょっと見直した方がいいかもしれない。

倫子ちゃんに、報告はいるし。
病院行くのに、どっかで休みもらわなきゃだけど。

「まだ、病院行ってお墨付き的なものが貰えるまで、両親たちには言わないでね」
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