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そぶりをやめて
第22章 3815日
押し付けられた胸の中で、佳佑が嬉しそうに笑っている。

顔を少し離して、汐里のほうを見上げながら、ゆっくりと舌を近づける。

両手で持ち上げた胸先を、焦らすようにつついては、間を開けて吸い付いて。
お湯を纏うようにゆるゆると胸の形を変えながら、互いの視線を絡め。
視線を交わしたまま、また舐めまわしてゆく。

汐里の腰の辺りにあった手が、お湯の中移動して太ももをぐいっと引き寄せる。
ぐらついてバランスを崩しそうになるのを、そのまま佳佑の膝を跨ぐように誘導された。

お湯の中で触れる肌の面積がぐっと増えて、互いの体を引き寄せる。

「んっ...。ふぅ...んっ」

次第に胸ばかりか首元や、顔の辺りまで動き回るその舌の感覚や、濡れた肌の上を滑る荒い吐息が気持ちよくて、汐里も腰がくねってしまう。

固くなっている場所に、自然と自らを擦り付けるように腰を近づけてゆく。

「んあっ、...んっふ...んっ」

互いの舌を絡ませ、その舌を貪る。

「...ベッド行く?」

つい数時間前もこのやりとりをした。

その時は、数十分も蚊帳の部屋に移動するかどうかでモメたが。

今は、湯気が立ち込め、足場の悪い風呂場でヤれるほど体力は残ってない。


なんとか浴槽から脱出し、タオルで素早く拭きあげて。

着るものを探す汐里の手を引っ張って、ほぼ裸のまま階段をあがる。

押し入れのような扉を開けると、勾配の急な階段があって。
転げるように駆け上がる。

派手な柄の襖を開けると、6帖程の畳の何も無い部屋があって。
その奥、襖が半分開け放たれた向こうにもまた同じぐらいの和室があって。
そこは、部屋の隅から隅までベッドがあるように見えた。

そのベッドの上へ、絡まるようにしてなだれ込む。

佳佑が風呂場に行く前につけたのか、エアコンがついていて。
涼しい風が吹いている。

頭側の間接照明がぼんやり照らす壁には、これまた派手な赤い色の着物の打ち掛けが、広げて展示してあって。
ベッドの上にも、これまた着物の帯のような、金の糸で出来た飾りのような布が垂らしてある。

それが肌に擦れて痛かったらしく、佳佑が恨みがましく掴んで何も無い部屋に放った。

痛がってるのを笑ってはいけないと思いつつも。
その動作が可愛くて、笑いを堪えるのが難しい。
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