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世界で一番身近な女
第10章 禁欲
それから大介は残りの二日間も部屋に閉じ籠ったままだった。
「あの子、本当に大丈夫かしら…
このまま引きこもりになっちゃったらどうしましょ…」
尿道炎の事を知らない母は、
真剣に大介の豹変に心を痛めていた。
「男の子なんて、たまに突拍子もつかない行動に出るものよ」
三日間の禁欲生活を強いられていることを知ってる姉の紗希は「ほっておけばいいのよ」と冷たく突き放すように告げた。
「男の子って…そんなものなの?」
心配性の母の希美枝は男の心理についてアドバイスをもらおうと夫である洋介に訊ねてみた。
「まあな…少し遅いが思春期ってやつだろ?
そのうちヒョッコリと部屋から出てくるさ」
男の事を、もっとよく教えてあげようか?と
夫である洋介は娘の紗希の視線の死角になる位置で、妻の希美枝の尻をナデナデした。
「いいわね男親って呑気で…」
夫の呑気さに苛立ちながらも、
今夜は愛してもらえるかもしれないと
言葉では夫をなじりながらも顔には嬉しそうな笑みを浮かべていた。
その頃、部屋で悶々としている大介のスマホに着信があった。
連日連夜、彼女の乃梨子からメールが来ていたので、また連絡してきやがったと辟易しながらスマホを確認してみると、例の女医からの連絡だった。
「あ、先生ですか?」
- どう?三日間、ちゃんとおとなしくしていた? -
「ええ、そりゃあもう、言いつけを守って耐えてましたよ」
- そう、感心ね…
そろそろ完治した頃だと思うんだけど、
オシッコする時の痛みはなくなった? -
「ええ、もうまったく痛みは消えました」
- そう、よかったわね…
完治したかどうか、もう一度診察してあげるわ.
明日、時間は大丈夫かしら? -
「ええ、僕の方は大丈夫ですけど、
でも、明日は日曜だし医院はお休みですよね?」
- だから好都合なんじゃない
いちいちナースが帰るまで待つ必要もないしね -
ナースの目を気にしなくてはいけないということは、完治したかどうかセックスをさせてもらえるのだなと、大介はピンときた。
「ええ、時間はたっぷりあるので伺います」
- そう?じゃあ、待ってるからね -
時間の指定を告げる響子の口調は医者と言うよりも、妙に弾んでいて恋人を待ちわびる彼女のようだった。