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世界で一番身近な女
第1章 世界で一番身近な女
「ちょっと大介、そこ全然違うよ」
大介の姉の紗希(さき)がシャープペンシルを指で器用に回しながら大介の宿題を見ながらため息をついた。
「えっ?」
どこが違うのだろうか。
何度見直してもどこが間違ってるのかまったくわからなかった。
「あんた、ほんとにやる気あるの?」
これじゃあ、あんたが入学できる大学なんてないわねと姉の紗希は悪態をついた。
「イヤなこと言うなよ。
これでも必死に勉強してるってのに」
あまりの偏差値の低さに、母は姉の紗希に弟の大介の家庭教師を頼んだ。
「まったく進歩なしじゃやってられないわよ。おまけに姉弟だから無償で家庭教師をやらされて、こちらもたまったものじゃないわ」
それに、あんたの部屋って臭いんだもんとゴミ箱に顔を近づけてクンクンと匂いを嗅いだ。
「あんたさあ、オナニーばっかしてるんでしょ?」
図星だった。
だが大介は平静を装いながら
「そんなことしてる訳ないじゃん」と言った。
「まあ、年頃の男で彼女もいないんじゃ 自分で慰めるしか性欲処理できないんでしょうけど」
年がら年中、 男をとっかえひっかえしてる男遊びの達人の姉貴に言われると無性に腹が立った。
「じゃあさ、私出かけるからね」
腕時計に目をやって姉貴は立ち上がった。
今日から3日間、父と母は旅行に行っていて留守だった。
そんな両親が不在なのを幸いに、どうせ夜通し男と遊びにでも行くのだろう。
ここと、ここの問題をちゃんとやっておくのよと ありがたい捨て台詞を残して姉貴は外出した。
バカめ、問題集なんてものは最後の頁に答えが載ってるのさ。俺はさっさと答えを丸写しして、せっかく家族が誰もいない夜をお楽しみタイムとして満喫することにした。
さてと、俺は年齢をごまかしてレンタルしてきたAVをセットした。
画面では無意味なインタビューシーンが始まった。 この無意味な時間は己のセッティングのためにあるのだと思わずにはいられなかった。
いつもは家族の誰かが部屋に入ってくることを想定して、ごまかせるようにズボンのジッパーからジュニアを開放させるのだが、この日ばかりはそんなことに神経を使う必要もなく、素っ裸で開放感に酔いしれた。
ティッシュペーパーを傍らに置き、
いつでも発射できる支度を整えると、ちょうど画面では女の子がローターで乳首を攻められていた。