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世界で一番身近な女
第2章 姉の葛藤
「ちょっと!やめてよ人前で!」
紗希が怒っているにも関わらず
正樹はチュッ、チュッっと可愛い音を立てて紗希の唇にキスの嵐を降らし続ける。
これが個室であるならば、
なんとか許せるけれど、オープンな空間なので周りの酔っぱらいからはヤンヤ、ヤンヤの喝采を浴びてしまう。
あまりの恥ずかしさに
「もう!あんたなんか大っ嫌い」と捨て台詞を残して紗希は店を飛び出した。
店の支払いを済ませて
慌てて正樹が紗希の後を追いかけてきた。
「なんで?いいじゃん、愛し合っているんだし」
裏路地とはいえ、それなりに人通りのあるここでも正樹は紗希の唇を奪おうと体を寄せてくる。
「だからぁ!そういうことは人前ではしないものなのよ!」
思わず紗希は正樹の顔をビンタしたい衝動にかられる。
「何も裸になって、ここでセックスをしようって訳じゃないぜ?
諸外国じゃキスを交わすことなんて日常茶飯事ってもんだろ?」
「おあいにくさま!ここは諸外国ではなくて日本なの!日本ではそういうことは人前ではしないものなのよ」
「じゃあさ、どこでならいいんだよ」
売り言葉に買い言葉で
紗希は行く手に燦然とネオンが輝くラブホテルを指差した。
「ラブホテルなら堂々とキスをしてもいいんだね?」
正樹は紗希の手をとると
ぐいぐいと引っ張ってラブホテルの門をくぐった。
『強引な男…
でも、そこがいいのよね』
紗希だって、大学のセミナーでさんざん体を弄られて、今すぐにでもセックスをしたくてウズウズしていた。
弟の大介のように初心でこちらがリードするのも楽しいけれど、やはり女としては男にリードされてめちゃくちゃ逝かせてもらいたがった。