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カクテル好きな女たち
第3章 男運のない女
少し路地を入ったところに
その小さなバーはありました。


ドアを開けると
カラコロンと昔懐かしい呼び鈴が鳴り響きました。


「いらっしゃいませ」

バリトンの声からしてスマートで
格好いいバーテンダーを期待しましたが、
グラスを拭きながら私を出迎えてくれたのは
どこにでもいるような冴えないオヤジでした。

「何をお召し上がりになりますか?」

あまり詳しくないので

「なんでもいいの」と
おまかせすることにしました。


しばらくすると
グラスの淵に
塩が付いたカクテルが用意されました。

「ソルティードッグです。
透き通る白いお肌の貴女にお似合いかと…」


お世辞でも白い肌と誉められて
悪い気はしませんでした。

気づけばバーテンダーさんを相手に
つまらない世間話に
いつしか笑みがこぼれていました。


「貴女にはやはり笑顔がお似合いです
私で良ければいくらでもお相手いたします」

私は美味しいカクテルに
すっかり酔ってしまいました。
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