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蒼い月光~くの一物語~
第11章 三つ巴の交わり
上手の布団に千代を座らせ、
八重は下手の布団にかしこまった。
「八重‥‥」
同じ布団の上にきて欲しいと、
か細い腕を伸ばして八重を手招いた。
「千代さま、それはなりませぬ。
正室と側室が同じ布団に入るなど、
あってはならぬことでございます」
そう言って誘いを拒むと、
唇を尖らせて幼子が拗ねるような顔をした。
嫁いできたとはいえ、
まだまだ振り袖の似合う年齢の子供なのだと
あらためて感じずにはいられなかった。
しばらくすると
「殿様のおなり~」という参(まい)り声と共に、
襖が音もなく開いて剣山が寝間に現れた。
二人の女は三つ指をついて殿を迎えた。
剣山は、ひれ伏す二人の女を見比べた。
『さて、どちらから味わってやるとするか‥‥』
剣山の目が千代の後ろ襟の
白いうなじに目が とまった。
『まだ、開いたばかりの花びら‥‥
こやつは乙女を散らしたばかりだと言うのに
男を 虜にする可憐な声で鳴きよる‥‥』
そして、今度は八重の
白い寝間着に包まれた双丘の尻に目がとまる。
『年増女だとバカにしていたが、
男をとろけさせる技は捨てがたい‥‥』
よし、決めた。
今宵はお前から食ってやる!
女の後ろ襟を掴んで引き上げて
面(おもて)をあげさせた。