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蒼い月光~くの一物語~
第11章 三つ巴の交わり
明け方、肌身の寒さに千代は目を覚ました。
一緒に寝ていたはずの八重の姿は消えていた。
剣山は大の字になって高いびきで寝入っていた。
風邪をひいてはいけないと
剣山の裸体に掛け布団をかけてあげた。
幸せだった。
このまま時が穏やかに流れてくれればよいのにと
思った。
だが朱里との契が頭をよぎった。
は!そういえば3人での愛の時間が終われば
すべてを語ってくれると 言っていたはずだ。
千代は目を閉じて、己の心の中に語りかけた。
『朱里…朱里、いるのであろう?』
『はい、ここに控えております』
いつもと変わらぬ低く暗い声が心の中に響いた。
さあ、そなたの真意を
語っていただこうではないか…
千代は朱里を問い詰めた。
『時が来たようでございますね…
千代さま、どうか私にお力をお貸しくださいませ』
千代は大きくうなづいた。
無言で話の先を急かした。
『千代さまにはお体を貸していただく際に
私の一生を見ていただきましたね』
千代が見た朱里の一生…
それは自分の伴侶である剣山によって
生命を絶たれて終わっていた。
『朱里…そなたは剣山様によって命を絶たれた…
私は、それを見て、
あなたが成仏できないのは
剣山への恨みつらみからだと思っていたのですが、
先日、あなたは剣山には恨みがないと
おっしゃいましたね』
『はい…私が討ちたい相手は…』
再び千代の心が白く霞んでゆく…
剣山との一騎打ちのその後を
千代に見せようとしているのだった。