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蒼い月光~くの一物語~
第13章 決戦!
右足がジンジンと痺れた。
「トリカブトか!?‥‥」
足の付け根を真田紐で縛り上げ
毒が体中に回るのを防ぐと
腰にぶら下げていた麻袋から蝮を取り出した。
「目には目を!毒には毒を!!」
これでも喰らいやがれと
蝮を矢の放たれた茂みを目掛けて投げつけた。
茂みの中から断末魔の叫び声があがった。
転がるように茂みから飛び出した男の腹に
蝮がしっかりと食らいついていた。
喉に突き刺さった手裏剣によって
瀕死の状態だったところに
蝮の毒が体に入ってはひとたまりもなかった。
男はあっという間に絶命した。
「拙者としたことがドジを踏んじまって‥‥」
最後の最後で助太刀の力になるどころか
お荷物になってしまったことを詫びた。
「なにを申すか、兵吉のおかげで残るは
頭ひとり‥‥もとよりさしでの勝負は
望んでいたこと‥‥」
だが兵吉は山賊の頭の腕前は、
そんじょそこらの猛者など足元にも及ばないことを
見抜いていた。
一刻も早く解毒しなければ‥‥
そして千代さまの助太刀をしなければ‥‥
兵吉は懐から解毒玉を取り出して
口に含むとガリっと噛み潰した。