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蒼い月光
第8章 戦を仕掛ける

そして、戦いの火蓋が切って落とされた。

戦況は予想通り多勢に無勢で押し込まれていた。


「行くか、朱里・・・」

その一言が敵将の首を取りに行けと命じたのは明白だった。

太刀を握り締めて自陣を飛び出した朱理は、
敵を蹴散らしながら敵陣を目指した。

5、6人を切り捨てると
太刀の刃(は)がこぼれた。


養父の疾風がいつも言っていた。
『よいか朱里・・・
刀は敵を切り裂こうとすると
すぐに刃(は)がやられる・・・
よほどの名刀でない限り、それは必定である・・・
だから敵とやるときは・・・切らずに突き刺せ!』

その教えは体に覚え込ませたつもりだった。

だが足軽に囲まれると
思わず刀を振ってしまっていた。

下忍が持つ刀など、タカが知れていた。

20人目と対戦し、
相手の刃(やいば)を受け止めたときに
太刀が真っ二つに折れた。

最後の最後まで使いたくなかった懐の火薬玉で
敵を蹴散らした。

その後は、なるべく敵に見つからぬように
身を屈めて走り続けた。

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