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蒼い月光~くの一物語~
第8章 戦を仕掛ける
おめおめと命を落とすつもりなど毛頭もなかった。
腹にはおそらく
殿の子種により授かった『ややこ』が入っているはずだった。
このところ2ヶ月ほど女の印が途絶えていた。
なんとしてでも生き残り、
赤子を産み落とすつもりだった。
だが、その思いは達成寸前で
剣山(けんざん)に打ち破られた。
。。。。。。。。。。。。。。
『これが私の生き様でございます・・・・』
朱里の過去を知らされた千代は
涙が溢れて仕方なかった・・・・
そして、自分自身を剣山に嫁がせ、
相手の懐に飛び込もうと心に決めた。
剣山のもとへ嫁ぐ決意を
父である城主に告げると
「よう言うた。儂(わし)もあやつに攻め込まれる前に
そなたを人質に差しだし縁組みを考えておったのじゃ、
そなたの器量であれば、必ずや剣山も気に入ってくれよう。
これでこの郷(くに)も安泰じゃ」 と大いに喜んだ。
そして、その剣山に嫁ぎ、
今宵、抱かれようとしている・・・
だが、いつ剣山を仕留めるというのだ?
寝間では寝巻きしか身につけていないのだ・・・
殿の懐刀は侍女の八重が手にしている。
彼女に飛びついて刀を奪うか?・・・
そのときは朱里・・・
そなたが現れてくれるのでしょうね・・・
心の中に問いかけた。
『千代殿・・・・そなたは生娘であろう?
せめて初枕の思い出を体に刻むとよい・・・
そのときがくるまで私は現れぬ。
ゆっくりと楽しまれるがよい・・・』
朱里が心の中からそう言うと、
その後、何度、呼びかけても決して現れなかった。