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未亡人下宿~お部屋、貸します~
第1章 序章
金銭的な余裕もないが、
何よりも夫が残してくれたこのアパートに
あまり手を加えたくないというのが本音だった。


「じゃあ、こうしませんか?
少しだけ家賃を上げて、
食事の面倒も見てあげるというのはどうですか?」

「食事?私が作るの?」

麗子は料理には少しばかり自信はあったが、
かと言って若者向けの料理となると
少しばかり不安になる。


「今から練習してみませんか?」

帰社の時間だというのに
会社へ「直帰します」と断りを入れて
私に付き合ってくれようとしました。


「たいした材料もないので
今はチャーハンぐらいしか作れないわ」と言うと、

「チャーハン、いいじゃないですか。
若い子はそういったボリュームのあるものが好きなんですよ」と

私に作ってみてくれと催促するのでした。



『まかないの練習というより、
この人に夕飯を作ってあげるようなものね…』

主人が亡くなってからは
誰かのために料理をするのが久しぶりなので、
私自身もけっこうノリノリで作り始めました。
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