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未亡人下宿~お部屋、貸します~
第5章 内覧の女
翌朝、スマホの着信音で目が覚めました。

時計を見るとすでにお昼前でした。

『爆睡ってのはこの事ね』

眠気眼で私はスマホの着信を受けました。


「もしもし、神崎でございます」

喉が渇いていたせいで
やたらとハスキーなボイスで
自分でも驚いてしまいました。

〔おはようございます。
〇〇不動産仲介の横尾です〕

あら、逢いたいと思った私の願いが通じたのかしら
思いもよらずに彼からの着信でした。

「どうなさったの?何かご用かしら?」

嬉しい気持ちを押し隠すように
私は冷たく言い放ちました。


〔お宅のアパートをお借りしたいという方がおられましてね。
今から内覧に伺ってもよろしいでしょうか?〕

よろしいもなにも、
合鍵は彼に託してあるのだから
好きな時間にいつでも内覧させればいいのに
彼ったら律儀なのね…

「そう、それはありがたいわ…
ねえ、内覧が終わったら
お時間を頂けるかしら?」

〔あいにくと午後からも
別の方を別宅の内覧の予定が入っておりまして…
今夜でもよければ
ゆっくりとお時間を取ることができますが〕


今夜…
ゆっくりと時間を作ってくれるの?
お泊まりしてくれるかしら…

〔そうですね…
お伺いできるのは9時以降になりますが
それでもよろしいでしょうか?〕


傍に内覧希望者がいるのだろう。

彼はあくまでも営業口調で受け答えしました。

「ええ…、きっとよ。必ずいらしてね」

私はできるだけ甘えた口調で
艶っぽく答えました。
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