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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第4章 ASAHINA
「ああ、もうすぐ14時ご来店のレイ・ルーカス様がお見えになるから

 お茶の準備、よろしくね。」 

副社長の桜井さんが、給湯室を覗き込んでそう声を掛けていく。

ああ、桜井さんてば、今日もカッコイイ♡

桜井さんの顔をポォ~ッとなって見ていると、ふいに顔を覗き込まれる。

「どうしたの?百瀬さん?顔、赤いよ?」

きゃ~っ!!心臓にキたぁ!

手にしていたお盆を慌てて胸に抱き、ブンブンと頭を横に振る。

「いえ!なんでもないですっ!お、お茶の準備ですよね!わかりましたっ!」

そう言うと、桜井さんは そ?じゃあお願いねと言い残し社長室の方に向かって行った。

ここは、ファッションデザイナーASAHINAの店舗兼オフィス。

いわゆる本店、本部ってとこかな。

去年ファッションデザイン専門学校を必死の就活も空しく

就職先をきめられないまま卒業した私。

ダメ元で受けた二次採用のこの天下のASAHINAに採用してもらえて。

パタンナーの私だけど、最初は支店で売り子かななんて思っていたのに、

何の間違いか、本店勤務。

面接採用試験の時、副社長の桜井さんがメインの面接官で一目惚れ。

面接の時、質問にテンパって何を言ってしまったのかは覚えていないけど。

私の答えに他の面接官が呆気にとられポカンとしていたのに、

桜井さんだけは本当におかしそうに大笑いして下さって。

それが採用の決め手になったとは思ってはいないけれども。

いざ入社し、本店に行くと。

皆さん、別世界の人たちだった。

技術面は私が学んできたものの、遥か上で。

おしゃれで洗練されていて。

そして、スタッフ全員自信とプライドをもって仕事をされている。

そんな皆さんだから、ひよっこの私にもとても親切で厳しく指導してくれた。

男性も女性も生き生きとキラキラしていた。

中でも群を抜いて、キラキラと眩しいオーラを放っているのは

ここASAHINAの社長、朝比奈 徹氏だった。

180センチを超える長身で、モデルとして活躍されていた体型を維持、

いや、それ以上に鍛えて素晴らしいスタイルでおられる。

現役の外国人モデルと並んでいても、遜色ないわ。きっと。

精悍だけど優しい顔立ちで、毛先に緩いウエーブを持たせた髪を

キレイにオールバックにし、きれいな銀縁眼鏡をされている。


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