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TRUE COLORS ~PURPLE~
第27章 Winter songs
「雅人……。」
雅人の病室の戻ると
点滴の管を引きちぎり、ベッド脇にこちらからは後ろ姿で立ち尽くす雅人がいた。
部屋には最小限度の明かりが灯っているだけで、雅人の表情はわからないけれど。
ドアを閉めるのもそこそこに、雅人の傍に駆け寄る。
ああ、今夜はクリスマスイヴ。
クリスマスの奇跡が起きたの?
半ば後ろから抱きつくような形で、彼の顔を覗き込もうとすると。
彼の取った腕を力いっぱい振りほどかれた。
あまりのショックに床にへたり込んでしまった。
いえ、ショックだったのは突き飛ばされるように振り払われた事では
なかったのかも知れない。
「誰だ?お前誰なんだ?………俺、俺は誰なんだ……。」
顔面蒼白で、戸惑い苦悩している顔の雅人が床にへたり込んでしまっている私を見て。
しゃがれた声でそう呟いたからだった。