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漏らしちゃったの?
第2章 海の秘密

朝。
すんごい勢いで焦るわたしに、伊倉さんは平然と言った。
「んー……オムツ、履こうか?」
2度目の失態に言葉を失ったわたしは、力なく布団に横になったまま、いやいやと首だけを横に振る。
恥に、恥を、上塗りする気なんですか……?!
人の布団を、おしっこで濡らしておきながら、そんなことも言えず。
冷えていく体に泣きそうになったわたしに、伊倉さんは冷静に言った。
「初めてじゃないんでしょう? 今までの対策は?」
問われて、夜中にトイレアラームをかけていたこと、それを昨日はかけ忘れたことをぽつぽつと話す。
「尿意で起きるわけではないんでしょ?」
両手で顔を抑えながら、頷く。
「アラームが鳴って、眠い目擦って、嫌々起きるって感じでしょ?」
……それも正解。なんでもお見通しなんだと思った。
伊倉さんが布団を剥がして、失禁の範囲を確認する。
伊倉さんにはかかっていなかったものの、わたしのお尻の下はぐっしょり濡れていて、腰まで冷たい。
「うーん、トイレに起きるのは大変で、思ったより尿量あるし。最近忙しくしてるのに、夜中に起き出してトイレなんて。夜だけでいいから、オムツ履いてみよう。手伝うから」
「て……! 手伝うって?!?!」
「昨日、お世話になりますって言ったの誰だっけ? とりあえず2週間、ここに泊まって」
「いや、待って、スーパーで言いましたが、お世話になるのは昨日の夜ご飯の件だけで……!」
「とにかく、お着替えとシャワー。そしたら一旦帰って2週間分のお泊まりセット用意してここに来ること」
とんとんと話が進む。
「それと…………海」
突然名前を呼ばれて、固まった。
「今日から、恋人だからね。いろいろ覚悟してよ」
覚悟てなにぃ?! 覚悟て……!! なんですのん……!
唐突に2度も恥を晒して、それで唐突に始まる、2週間の同棲。
なんの覚悟もないよ、今。
いや、伊倉さんと一緒にいられるの、嬉しくないわけないんだけれど……。
気持ちが追いつかないよ。
とにかく、バスルームに逃げ込んで、シャワーを浴びて着替えを済ませる。
戸惑いつつも、2週間分のあれこれを持って、再度伊倉さんの家にたどり着いたわたしは、軽めの引越しのようなものであった。

