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漏らしちゃったの?
第3章 お漏らし矯正と同棲生活
1

伊倉さんと2週間の同棲を始めることになった、初日。
あっという間に終わりがくるのが休日だ。

「はい、寝るよ〜。明日お互い仕事なんだから」

「んー、待ってください、もう少しだけ〜」

わたしは、休日のギリギリまで足掻くタイプ。

伊倉さんの部屋、すごい冊数の本がある。
『自由にしていいよ』と言われ、壁一面の本棚から気になった漫画を5冊くらい積み重ねて読んでいたら、22時を回っていた。

え、ってか、まだ22時よ? 伊倉さん、早寝すぎない?

日付を超えて、1時過ぎに寝るわたしにとっては、今がまさにゴールデンタイムで、手に持った漫画は手放さない。

「いつも何時に寝てるの?」

「1時過ぎとかです」

「で、起きるのは?」

「んー……だいたい6時半とかですかね」

「……へぇ〜」

何気なく答えながら、漫画を読んでいたら、部屋の空気が変わったことに気づかなかった。

「んで、トイレアラームは何時にかけてた?」

伊倉さんの声のトーンが低いものになる。
読んでいた漫画から顔を上げると、すぐ横で伊倉さんがにっこりと笑ってはいるけれど、なんかこう、いつもと違うというか……

「えーと……3時か4時に……」

「ふーん。それで起きられなくて、朝失禁してるわけか」

「あ、の……」

あ、なんだろう、わたし今、地雷踏んでる……?
恐る恐る、そっと漫画を閉じると、伊倉さんが話し出した。
わたしがこうするのを、ずっと待っていたみたいだった。

「海。まず自分の体に頓着しないと、お漏らし治んないよ」

真正面から名前を呼ばれて、真っ当なことを言われて、俯いた。
聞きたくなかった、痛い一言。

わたし自身、漏らすことに悩んではいたものの、体調のせいだとか、ストレスのせいだとか、生理前だとか、いろいろ適当なことを考えていた。できるだけトイレアラームで起きて漏らさないように、としか考えていなかったけど、伊倉さんはその根本から矯正するために、同棲という形をとったのだと、いまさらわかった。

「まずは体調整えなきゃ。何が原因でこうなってるか、いつまで経ってもわからないよ。それに、そうじゃなかったら、今日からつける夜のオムツはいつまでも外れない」

「え、今日から……ですか?!」

動揺するわたしに、伊倉さんは平然と言ってのけた。

「もちろん。なんのための同棲だと思ってんの」

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