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短編集 一区間のラブストーリー
第14章 第十四話
その夜はかなり険悪なムードだった。
それもそのはず、クリスマスイブだというのに
親父が会社の同僚と飲み会をしてしまい
帰宅が遅いばかりかスーツの内ポケットからは
ソープランドの女の子の名刺が出てきたのだから
母の怒りはピークに達していた。
母だって女なのだ。
一年に一度のイブだからきっと僕が寝た後で
ベッドでイチャイチャした後、
キツイ一発を欲しかったに違いない。
”ガチャ~ン”
階下のリビングで食器が割れる音がした…
とかく喧嘩をよくやる夫婦だったが、
しばらくすると仲直りして喧嘩した夜ほど激しいSEXをするのだから
思春期の僕としてはたまったものじゃない。
今夜もきっとこの後仲直りして、
母さんが今夜望んでいた以上の激しいSEXが繰り広げられるんだろう…
「やってられねえや」
僕はやがて聞こえてくる母の喘ぎ声をオカズに
オナニーするつもりでティッシュボックスを枕元に引き寄せた。
だが、そんな僕の期待とは裏腹に
親父の「出ていけ!!」という怒号が聞こえた。
「悪いのはあなたなんだからあなたが出て行ってよ!」
母も売り言葉に買い言葉というふうに
今夜は一歩も引かないようだった。
『おいおい…まさかクリスマスイブだってのにこのまま離婚とかにまで発展しちまうのか?』
これはオナニーどころじゃないぞと思っていると、
いきなり僕の部屋のドアが開いた。
「あなた!私、今夜はここで明と一緒に寝るから!」
そう捨てセリフを階下に言い放つと母さんは僕のベッドに潜り込んだ。