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黒い瞳
第9章 エピローグ
淳子は静かに目を覚ました・・・
白い天井、白い壁・・・
懺悔の思いで目から涙が溢れる。
「由紀子・・・」
愛する健太の忘れ形見をこの手で・・・・
淳子は病院の隔離病棟に収監されていた。
体は拘束衣で自由を奪われていた。
順平のように命を落とせばよかったのに・・・
この心の傷は一生消えることはないだろう。
カツ、カツ、カツ・・・
数人の靴音と、
杖を着く音がドアに近づいてくる。
キィ~という金属音とともにドアが開く。
担当医が入室してきて話し始めた。
「若林さん、
あなたの身元引受人が名乗り出てくれましたよ。 これからは全快を目指してがんばりましょうね」
さあ、どうぞ。という担当医の声に促されて、
杖を着いた男が入室してきた。
男は「淳子、探したよ・・・」 そう言ってニヤリと笑った。
淳子は男の声を聞き、
目を見開いて男を見た。
そこには、こめかみに傷跡を残した父が、
不気味な笑顔で立っていた・・・・
完