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短編 出張の一夜
第6章 一夜の夢

翌朝、
桧山が目覚めると右腕が少し痺れていた。

『ああ、そうだった。
一晩中藍子に腕枕してたんだった』

腕の痺れの感覚が
昨夜の素晴らしいひとときを思い出させてくれた。


藍子は?藍子はどうだったろう?

藍子も気持ちよく満足してくれたろうか…

そして隣に藍子の姿がないことに気づいた。


「課長、おはようございます。
起きて支度してくださいね、
アポの時間に遅れちゃいますよ」

声のする方を見ると、
藍子はすでにメイクも終え、
浴衣からビジネススーツに着替え、
いつもの宮間藍子に戻っていた。



その後、出張はたいした結果も出せなかったが
なんとか無事に終わった。

帰京時間が夕方5時だったので
桧山は直帰の旨を会社に告げた。

「どうだい、一緒に食事でも・・・」

そのあとホテルに連れ込んで
昨夜の続きをと企んだ。


「すいません、お誘いありがとうございます
でも、彼が迎えに来てくれるので
ここで失礼いたします」

深々と一礼すると藍子は雑踏の中に消えていった。

藍子の背中を見送りながら、
次回の出張も
パートナーを藍子にしようと心に決めた。





あとがき

本来、短編集の「一区間のラブストーリー」に
収載しようと書き始めたのですが
思った以上にページ数が嵩んでしまったので
このお話だけを別枠として収めさせていただきました。
/27ページ
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