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いろはにほへと~色は匂えど~
第7章 婚礼
お吉が城に召し抱えられて早や半年が過ぎた。
お吉の後釜として
お民が策ノ進の夕餉の世話を申し出た。
お民はことあるごとに
策ノ進の気を引こうとしたが、
策ノ進はといえばお吉の事が忘れられず
へのこが勃起する事がなかった。
寺子屋で世話になっている農家の子らの母親達が
こぞって策ノ進に夜這いをかけたが、
策ノ進は勃起せぬと丁重に断りを入れて帰らせた。
そんな折、
庄屋がいつまでも身を固めようとせぬ策ノ進を気遣い、
お民を嫁にしてはどうかと申し出た。
「庄屋殿の申し出、
お気持ちだけは有り難く頂戴つかまつる
ですが拙者はまだまだ身を固める気は…」
「そなたがお吉を慕うておったのは
重々承知しておる
おそらくはわしの目を盗んで
通じておった事であろう…
だが、お吉は城に献上した身…
いくら待っても戻って来ぬのだぞ」
わかっていたことだが
お吉の父親から念を押されると
ぐうの音も出なかった。
「お民は器量も良いし、
聞けば月のモノも欠かさずあるというではないか、
月のモノがしっかりしておる女は
健やかなややこを産むというぞ。
どうかここはわしのたっての願いを
聞いて頂けぬか」
そう言って庄屋は深々と頭を下げた。
こんな自分の事をここまで思ってくれているとは…
「承知つかまつった」
ついに策ノ進はお民と所帯を持つことを了解した。