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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第6章 【あなたに壊されたい】





射精してもまだ手が離れなくてギブアップされて我に返る。




「今日のリリカちゃん、いつもと違って良かったけどちょっと痛い…かな」




常連様なのに熱が上がってしまった。
終わってから言うとまた次も指名してもらえるかな、と口から突いて出る。




「ごめんなさい、ちょっと禁欲してて……興奮しちゃいました」




「えっ?リリカちゃん禁欲してるの?え、どれくらい?」って質問攻めにあうのも想定内で。
「ん〜わかんない、1週間くらい?」と誤魔化すが正確にはもう20日間ほどだ。





週に3日ほど誰かのペニスを握り射精へ導く。
どれも堤さんとは違う。
当たり前だけど何も感じない。
早く欲しいな…と思いながら他人のペニスで欲を満たす。




店から一歩出れば神楽坂紗衣となり筆に命を宿らせ一筆入魂するのだ。
いつか堤さんが見てえらく感動してくださっていたのが某大手企業のインスタント麺の商品名を私が書いた時の事。




「マジか!これ、紗衣が書いてたのか」




「あ………うん、まだ世に出てないけどね」




そう言ってた「麺人」も今じゃシリーズ化して世の中に出回っている。
知らず知らず誰かが手に取っているインスタント麺も数多くは私の字だ。




ついには堤さんの名刺も「書いてくれ」と言われ書いてあげた。
もうすでに代表取締役専務だったんですね。
オーナーとは共同経営…みたいな。




今までで一番緊張して書いたかも知れない。




“堤 一崇”




「すげぇ、魂感じるよ」




「ギャラは私の月収の2倍くらいで」




なんて冗談を言い合っていた。
まだ数週間会えていないというのに事態は急展開を迎え私たちに追い打ちをかけるのであった。












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