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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第7章 【決断の時】
「ヤッタ……あ、動いた」
「マジ?おーい、パパだぞ、安心して産まれてこいよ?」
お腹に耳と手を当てて話しかけてる。
もうすぐこの世に産まれてくる新しい命に早くも子煩悩ぶりを発揮している一崇さん。
そっと握り締めてくれる温かい手。
ポコポコ動いてびっくりして「足か?手か?」って感動してる。
上の方だからきっと足だね。
これから何年、何十年と私たちの歴史は刻まれていく。
小さな手に指を握らせたあの幸せな日を皮切りに歳を重ね、愛し合い寄り添い、皺くちゃの歳になってもこの手を繋いであなたと生きていきたい。
ねぇ、いつまで経ってもまるで昨日の事のように思い出せるのよ。
あなたが私を見つけてくれた時、最初に交わした言葉。
“なぁ、俺の店で働いてみろよ、お前ならてっぺん取れるし俺が見せてやる、てっぺんでしか見れない景色を”
夜の世界に引きずり込んだのも、
今の世界を一緒に創り上げてくれたのもあなた。
私の人生にもあなたの居ない未来はない。
どうせなら今の世界でもてっぺん取ってみたいねって始めた仕事。
数々の賞を頂いて世界のベストアート集に自分の名も残せた。
きっときっとこの先もあなたはてっぺんを見せてくれる唯一無二の人なのでしょうね。
【完】