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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第7章 【決断の時】
やっと働ける場所が見つかったみたい。
実は神楽坂と離縁する際、遺産で貰った同額を叩きつけてやったのだ。
二度と関わらない事を約束し誓約書も交わした。
だから自分で稼いだ貯金を崩しながらの生活だったから底をつく前に職に就けて良かった。
「恋人は居ないのかい?一人で此処に?」
デュークにそう聞かれて言葉を詰まらせる。
それをいち早く察知してくれてエレンが「人生何があるかわからないわ、楽しんだもん勝ちよ」とウィンクして笑った。
歳は私より3つ上だけどエネルギッシュで何かとパワーも貰っていた。
「サエ、夢は夢で終わらせてはダメ、想い続けて本気で努力して、明確な目的を設けるの、小さな目的から実現していってそれを繋げていくのよ、そしてそれを声に出す事、たくさんの人に聞かせるの、実現する為にね」
最初に言ってくれたエレンの言葉、後に忘れられない言葉となる。
明確なビジョンを声に出して伝えていく。
私は、子供たちに教えたい。
そしていつか、この異国の地でたくさんの人の前で、パフォーマンスしたい。
私の夢は動き出したばかりだ。
「サエ、今日も綺麗だよ」とカタコトの日本語で毎日のように現れるのはデュークの友達、カイン。
皆でホームパーティーした時にお呼ばれしてエレンたちの家で出逢った。
青い瞳で見つめられると少しグラついてしまう。
いわゆる、めっちゃイケメンでびっくりするくらい求愛してくる。
ガールフレンドは居ないらしく、彼もまた私の字に惚れ込んだ一人で。
サラサラの金髪に青い瞳。
中肉中背……だけど、つい鼻を見てしまうクセは今も抜けない。
鼻の大きな人ってアソコも大きいって言うから。
カインの鼻は物凄く高い。
だからかなり大きいと思う。
「サエ?考えごと?」と顔を覗き込まれ慌てて何もないと答える。
その手はいとも簡単に握りしめられ甲にキスされる。
「今夜はサエを独り占めしても良い?」
「え…?」
こんな誘い文句、今までなら平気で交わせてたのに。
本当、身体動けないくらい動揺してる。
恋愛なんてさらさらする気はないのに。
全部置いてきたはずなのに。