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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第2章 【快楽主義の射精術】
「2人では会わないですよ?5人での打ち合わせです。勿論女性も居ますし」
何で私がこんな焦ってフォローしてるのよ。
別に堤さんには関係ないじゃない。
今はリリカじゃないんだから。
髪を片側に寄せられて首の後ろに唇をつけてきた。
一瞬でチクンとつけられた赤い印。
「髪、アップにするなよ」
「前につけてたら引っ叩いてましたよ」
「それも悪くないな」
やっぱりこんな独占欲丸出しな人とは無理。
適度に逢瀬を重ねるくらいが丁度良い。
「10時には出ますので」
「場所は?」
「えっ………」
そこまで言わなきゃならない?
送るよって言われてもプライベートな訳だし、これ以上入って来られるのは私の中での危険信号が灯る。
「さぁ?何処だったっけな」なんて下手な誤魔化しが効く相手じゃないことも充分把握しているってば。
ほら、ベットに押し倒される。
スカートの中に手を入れて腿まで這わせるの。
「言わないなら今ここで犯すけど?」
ちょっと待ってよ、もう着替え終えてるのよ!?
服に皺がいくし呆気なく降参。
こうして隣でスーツでキメられると嫌でも見惚れてしまうほど堤さんはイケオジで大人の色気が漂っている。
視線ひとつでもドキッとさせられ真っ直ぐ見つめられたら息を呑む。
そんな素敵な人がこれほどまで私に熱を上げるのは何故なんだろう?
つい打算的な考え方に行き着いてしまう。
いつも踏ん張ってなきゃならない。
気を抜けば惚れてしまうから。
それは常々感じてる。
これ以上踏み込むなってセーブをかけてる。
もう愛だの恋だのどうでも良い、性欲さえ消化出来れば。
その相手を堤さんにしてしまうのは気が引ける。
後々やり難くなったりトラブルに発展したりするのは避けたい。
あの日、私は魂を売ったの。
ようやくもうひとりの自分に辿り着けた。
思いきって夜の世界へ飛び込んでみたけど生きてきた世界が違う人種に溶け込む事で自分を解放出来たのも事実で。
堤さんには感謝している。
あの日、あの場所で、私を見つけて声をかけてくれたこと。
諦めないでいてくれたこと。
私を仮面風俗嬢に仕立て上げてくれたこと。