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Kiss Again and Again
第8章 それから
 海の部屋は ところどころに埃が積もっていた。 うっすらと白くなっている所を 意地悪な姑のように指でなぞり 灰色の指先を見つめた。 掃除したい葛藤と折り合わなくてはならない。 この灰色のベールを取り去ると その下には 何があるのだろう。 

 石を動かすと その下の湿った地面には 陽を浴びるのを好まない無数の虫が隠れているものだ。 蠢く 無数の虫。
 それを見い出すのは 怖かった。

 これほど甘やかで濃密な時間を過ごしたというのに わたしは 未だに 海の真摯さ、誠実さを信じてはいなかった。 いつも どこかに 大きなカプセルが咽喉を通りきれないような 居心地の悪い不信感を抱えていた。

 海は 午後から 卒業研究のための打ち合わせの予定があった。

  「帰る前に お掃除をしても いいですか?」
 言っていることの意味より 思いつめた言い方に聞こえたのかもしれない。
 海は 少し目を大きくして
 「あゆ・・・ 掃除したいの?」
 「あ・・・ 嫌だったら・・・」
 「別に 嫌じゃあないけど。 あゆは 掃除したいの?」
 「長居をしてしまったから きちんとして帰った方がいいかな、と思って」

 この言い方で よかったかしら?

 「でも あと少ししか一緒にいられないのに。 掃除するの?」

 やっぱり・・・ いやよね・・・

 海は ぎゅっ、と抱きしめてくれ
 「いいよ。 あゆはキレイ好きだもんね。 一緒に パパパッと掃除しちゃおうか」

 それは ありがたいかも。
 わたしが見てはいけないものは 見せないようにしてください。

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