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Kiss Again and Again
第10章 裏切り

 純子ちゃんちは 中に入ると 古風な香りがする。 そんなものがあれば、だけど。 天然木で創られているせいだろうか。 その静謐とした空気に清められる。

 樹さんは 新作のチーズケーキと紅茶にブランデーを落としたものを勧めてくださった。 それは ささくれだった心に 沁み込む。

 お風呂を促されて 浴室の鏡に映る自分の姿に驚いた。 顔も 着ているものも 薄汚れている。 何があったの? 靴を脱いだまま走ったため ストッキングは破れ 足の裏はすりむけていた。 アドレナリンが沸騰していたせいで 痛みを感じなかったのだ。

 
 わたしと入れ違いに純子ちゃんがお風呂に入っていると 洗い物を終えた樹さんが ソファの後ろに立ち 肩に温かい手を置く。

 「その傷口が癒えるまで そばにいい男をおいとくのも ありなんじゃないかな。 僕を好きなだけ利用するというのはどう? 僕は あゆちゃんを傷つけたりしないよ」

 大人の男の深い声。

 そんな言葉 聞き飽きるほど聞かされて そう言った当の本人が ナイフを振り下ろしたのよ。 甘い言葉を信じるほど もう わたしは 馬鹿じゃあない。 美味しいケーキと 香り高い紅茶に惹かれ 打ち解け 心をとき放したただけです。
 手を はなして。

 「さっき 足を引きずっていたね。 見せてごらん」
 逃げようとするのを 背の高い樹さんにたやすく抱きとめられると ソファに座らされた。 
 「痛そうだね。 裸足で走ったの?」

 自分の愚かさが恥ずかしくて 足を触られているのも恥ずかしくて 返事ができない。

 「自分でできる」というのを聞き流し 樹さんは 間単に消毒して包帯を巻いてくれた。 その足を いつまでも離そうとしない。


 「あゆちゃんって 柳の枝に 間違えて咲いた梨の花みたいだね。 しなやかで 折れることがない、でも はかなげで。 ほおっておけない」

 あのね・・・ 樹さん
 わたし 悪魔に魂を売り渡してしまって 当分 人を好きになることなんて できそうにないので。 無理です。 さわらないで。

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