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Kiss Again and Again
第11章  兄 妹

 マンションに着いた。 
 「いつも ありがとうございます」
 樹さんの身体が傾いてくる。 とっさに 樹さんの口元を片手で塞いだ。
 「キスしようと したでしょう?」
 目が笑っている。 指を1本 咥えた。
 「あっ・・・」 怯んで 手を離した。
 「だめ?」
 「だめっ」
 「この前は だめ、って言わなかったのに」
 「今日から だめです」
 「いつまで?」
 「ずっーーーと」
 「そんなの 無理」
 「じゅんに 怒られますよ」

 樹さんは 華やかに笑った。
 この笑顔は 好きなんだけど。

 「信号のないところを渡るのもだめです」
 「それは 内緒にしておいて」
 「あのとき ほのかちゃんもいたから わたしが言わなくても じゅんには伝わりますよ」
 「はぁ・・・・・」
 樹さんは ハンドルにうっぷした。


 あっ・・・ 海が 初めてここに来たときも こんな風に・・・
 だめ・・・ 思い出したら だめ。 つらいだけ。

 思わず 目の前の髪に触れてしまった。

 樹さんが こっちを向き 「あゆちゃん かなしそう」

 「樹さんと一緒にいるのは とても楽しいし よくしていただいてうれしいです。 でも わたしの心という部屋は 物を詰め込みすぎて ちっとも片付いていないし 片付ける気力もなくて」
 「そのままでいい。 片付けなくても 物がいっぱいあっても そのままでいい」
 「わたし A型で 掃除好きなものですから」


 ハザードの カッチカッチという音が 憂鬱に 時を刻む。


 「ありがとうございました。 おやすみなさい」

 遠ざかる樹さんの車を見送りながら 「もったいなかったのかなぁ」と思った。
 意味はよくわからなかったけど。

 部屋に戻れば 海の荷物の入った紙袋が さりげなく 周囲に溶け込むように密やかに ある。
 いつまでも この紙袋を捨てられないわたしは なに?

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