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Kiss Again and Again
第11章  兄 妹

 家庭教師をした帰りの電車の中で 何度も電話がかかってくる。
 「たつき」とある。

 あんまり何度もかかってくるから 電車を降りて 電話にでた。

 「あゆちゃん 温泉に行こうっ」

 何度もかかってくるから 何事かと思ったら・・・ 温泉?

 「ペア宿泊券というのをもらったんだ。 一泊7万円とか すごいでしょう? 温泉に行こう」

 欲しかった自転車を買ってもらったときの5歳の男の子みたいに はしゃいでいる。

 「行きません」
 「なんで? ペア宿泊券だよ。 あゆちゃんが行かないと 15万円が無駄になっちゃうよ」

 なんで? はわたしのセリフなんですけど。

 「じゅん達にあげたらどうですか?」
 「僕が もらったんだよ」

 これは 5歳以下かもしれない。

 「あゆちゃん 今 どこ?」
 周りをみて 「豪徳寺です」
 「どうして?」
 「電話がかかってきたから 電車を降りたんです」
 「じゃあ マンションで待ってて。 迎えに行くから」

 電話は 切れた。

 ため息をひとつついて 次の電車に乗った。

 樹さんって なんか・・・ にくめない。

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