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Kiss Again and Again
第14章 新しい扉

 樹さんは 紅茶を飲み終わると
 「じゃあ お店にもどります。 ごゆっくり」

 立ち上がり わたしの肘を掴んだ。
 「送って」

 お勝手口まで?

 靴をはきながら
 「この前は とても楽しかった。 連絡せずに ごめんね」
 軽く唇にキスをすると
 「また デートしよっ」

 居間に戻り 「樹さんは どうされたの?」
 「ほのが たつにぃに あゆが来てるって連絡しろ、って言うから 連絡した」
 「なんて 予想通りなのっ! いや、 それ以上かもしれない」
 「ほぼ盲目といえる」
 「だってぇ あゆちゃん ”あいたい”って 言ってあげないんだもの」
 「なに それ?」
 「じゅんも 知りたぁい? あゆちゃんって 恋人に ”あいたい”って 言わない人だったのよ」
 「うそでしょう?」
 「ほ・ん・と。 あのクズ男さえ 一度も言ってもらってないらしいのよ」
 「あゆ。 ありえないから」
 「じゅんは ”あいたい”って 言ったことがあるの?」
 「バリバリ ある。 当たり前でしょうが。 それは愛情表現の大切なひとつだし 媚薬でしょう?」
 「調味料から 媚薬に格上げされちゃったわよ、あゆちゃん」

 ほのかちゃんは すっかり楽しんでいる。

 こんなことに利用されちゃって 樹さんも お気の毒様。

 
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