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Kiss Again and Again
第15章 クリスマス後

 
 「ごめんなさい。 感じが悪かったですか?」
 「そうじゃあなくて。 僕がちゃんと伝えておかなかったから」
 「いえ。 わたしが前もって 確認しておけばよかったのに。 お忙しいのはわかっていたのに。 ごめんなさい」

 約束していたのに。
 涙が咽喉を塞ぎそうだった。

 タクシーを拾ってくれるつもりの樹さんに
 「時間が早いので 電車で帰ります。 わたしに気を遣わないでください。 ちゃんとわかっていますから」

 笑った、つもり。

 「また・・・時間をつくるから」

 わたしは 時間をつくってもらわないと もう一緒にいられないのね。

 「はい。 もう もどってください」
 泣きそうだから・・・
 肘を捉えている手を そぉっと払った。

 「うん。 またね」
 また? それは 約束?
 「はい」

 馬鹿みたいだ。 こんなことで泣くなんて。
 傷ついていることを 知られたくなかった。
 怯えていることは もっと知られたくなかった。

 歩き出して 振り返ると 樹さんは まだ同じところに立っていた。
 手を振ると 大きく手を振り返してくれた。

 白いユニフォームを着た 大きな樹さん。 子供みたいに手を振って。

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