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Kiss Again and Again
第17章 別れのとき

 樹さんの渡仏の日程と じゅんの結納の日が重なった。 樹さんが わざとそうしたのだと思った。

 新潟から出て来られる婚約者高田講師さんのご両親との親睦を兼ねて じゅんとじゅんのご両親は 前日から結納をかわすホテルに滞在するとのことだった。

 純子ちゃんは 「最後の夜じゃん。 私とは正反対だね」と 泣いているような声で言った。

 わたしたちは 最後の夜を ふたりっきりで 古風な日本家屋で過ごした。
 白ワインのグラスを持ち 縁側もどきにふたりで座って わたしは明るくなれる話題を探していた。


 「月が きれいですね」 とってつけたように 樹さんが言う。
 夜空には かすかな星と 薄黄色の下弦の月がでていた。 細くて 子供さえ乗れないような月だった。
 薄情女の唇の形。

 「美しいものを一緒に見れて 同じように美しいと感じ合えるなんて 素敵ですね」


 一緒に旅行に行った時に見た月は ほとんど満ちていた。
 こんな頼りなげな月を 最後の夜に見るなんて。

 それから 長いキスをして 樹さんの部屋に行き 静かに愛し合った。 何度もひとつになるのに 終わることがなかった。 思いやることに疲れ果て 確かめようとしても答えがみつからず 繋がったまま 朝まで眠った。 短い夜だった。



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