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Kiss Again and Again
第18章 再 会

 かつては 肌を合わせたことがあるという気安さなのだろうか 海は 何でもないことのように スカートをたくし上げた。
 驚き 慌ててスカートを引き下げたけれど 腿を取り巻く赤と黒のバラの花のストッキングの終わりを 赤いサスペンダーが挟さんでいるのは 見えたはずだ。

 「あの・・・ 空港で別れた男のため?
 あの男に 見せるために こんな格好をしているの? あの男のせいで 泣いているの?」

 悲しみの中心に 的中する言葉だった。
 海の放った矢は 見事にふれて欲しくないところを 射抜いた。


 海という男の前で泣くつもりはない、その気位だけで 崩れずにいられた。

 「あなたには 関系のないことです」

 海は ふっと息を吐き出し 「そうだね」と呟いた。


 「お茶でもいかが、って 言ってくれないの?」
 驚いて 見つめると 返事を待つでもなく
 「じゃあ 一杯だけ いただきます」
 ひとりごとのように言うと ケトルを取り出し お湯を沸かし始めた。
 「すぐに 帰るって・・・」
 「紅茶を飲むくらいは いいでしょう?」

 「これでいい?」
 紅茶の缶を掲げて 海が聞く。
 「はい」
 ケトルの置き場所、 紅茶缶のしまい場所、 どこにティポットやカップがあるかも全部知っている。

 「まず ポットを温めて」
 「そうするの?」
 「ポットを温めたお湯で カップを温めて・・・」
 「カップは これでいい?」
 「はい。 茶葉を・・・ for you for me for pot・・・」
 「三杯入れるの?」
 「はい。 お湯は 高いところから注いで 茶葉が ポットの中で 舞うように・・・」

 そう・・・ 樹さんが 教えてくれた。 何でも知っていて 面倒がらずに 丁寧に教えてくれた。 そして 「上手にできているよ」 深い声で褒めてくれる。

 また 涙が 溢れた。

 「なかないで・・・」 樹さんの声が聞こえる。
 テーブルの上の 赤い胡蝶蘭。




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