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第20章 初　冬

　少しづつ潤い始めた深みに　指が沈んでゆく。
　「声・・・　きかせて・・・」
　記憶をたよりに　狭い中を　海の指が　戯れる。
　「ここ・・・？」
　「あ・・・　あ・・・」
　「いい・・・？」
　「あ・・・ん・・・」
　「ああ・・・　濡れてきた・・・　僕の知っているあゆだ・・・」

　しばらくうごめいた後　指が出てゆくと　海は　堅く大きくなったそれを押し当てた。

　「できないって・・・」
　「できないと思ったけど・・・　あゆが　あんまり可愛いから・・・」

　入り口のあたりを焦らすように擦りつけていたのに　わたしが腰を引いて　逃げようとしたものだから　急いで入ってきた。

　「いや　いや・・・　やめて・・・」

　やっぱり　できない。　したくない。

　－－－もっと　いやがって

　「むり・・・」

　お尻を掴んでいた手に　いっそう力がこめられる。　最後まで挿れると
　「あったかい・・・　ああ・・・　きもちがいい・・・」

　その言葉で　海が　現実として　わたしの中にいるのが感じられた。　樹さんの声が　消え去った。

　繋がったまま　肩から両腕全体で　包み込むように抱きしめられた。
　もしかしたら・・・　この人は　本当に　わたしのことを愛しているのかもしれない。　この抱擁の大きさ、優しさは　嘘も偽りもない。

　両手を　海の背中にまわした。
　それに気づくと　抱きしめる腕に　さらに力がこめられた。
　早鐘のような海の鼓動が　伝わってくる。

　愛されるというのは　なんて心地よいのだろう。
　なんて満たされるのだろう。

　きつく抱擁したまま　腰を突き上げる。　ゆっくり　突き上げる。
　乾き　愛に飢えたそこは　与えられたものに　素直に貪欲に反応した。　熱い渦が　くまなく身体を巻き込んだ。　海にしがみつき　その熱に耐えた。

　「ああ・・・　しめつける・・・　あゆ・・・　あゆ・・・」

　海の腕の中で　呼吸が整うのを待った。