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Kiss Again and Again
第21章 はじまりは こんな風に
 
「そんなことは後にして ゆっくりすれば?」
 どうすれば ゆっくりできるのかしら?
 その声が聞こえたかのように 海は立ち上がるとわたしの手を取り ラブチェアまで導くと隣に座らせた。
 「天気予報を観よう」と テレビをつける。 はおっていた毛布をわたしにも掛けると 身体を倒した。 海の脇の辺りに頭がのっかり窮屈だ。 抜け出そうとすると 肩に手を回し 動けなくする。
 「感謝の気持ちを 風邪をうつすことで伝えなくていいから」
 「うん。 わかってる」
 海は ごそごそと身体をずらし 窮屈さから解放されようとする。 天気予報なんて やっていない。 この状態から逃げ出すこともできるのだけど。

 「うつるとしたら とっくにうつっているよ」
 そうよね。 キスもしたし セックスまでしてしまったのだから。

 「あのね 海のことキライじゃあないけど セックスするほど好きでもない」
 「うん。 わかってる」

 テレビでは バラエティ番組の再放送らしきものをやっている。
 「お熱は どんな感じ? 楽になってきた?」
 「そんなにかわらない」
 そうよね。 黙っているのが ちょっと苦しい。
 海は 反対側に身体を傾け わたしの後ろに重なるように横になった。
 「病人だから わがままさせて」
 「病人だったら 大人しくして」

 そのまま キスしてきた。

 「風邪をうつして 自分だけ治ろうとしていませんか?」
 「そのアイディア いただきます」
 またキスをする。
 「海・・・ やめて・・・」
 「追い出される前に やること やっておこうかな、と思って」
 静かな 丁寧なキス。
 「目を閉じないの?」
 「今すぐ 追い出す?」
 「あゆ 初めてキスしたときも 目を開けていたよね」

 あ・・・

 
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