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Kiss Again and Again
第1章 高校生活
 二年生になり クラス替えで また大沼さんと同じクラスになった。
 安部周人くんと同じクラスにならなかっただけでも マシだけど。

 大沼さんを見るだけでも とんでもなく辛かった。 背が高くて グラマーで 何でもハキハキ言いたいことが言えて きりっとした顔立ちで。 
 大沼さんになりたかった。


 放課後 忘れ物を取りに 教室に戻った。 何を取りに戻ったのかは もう思い出せない。

 教室の引き戸を開けると・・・ 半分くらい開けたところで 手がとまった。

 暮れかけて薄暗い窓の近くで 安部周人くんと大沼さんが キスしていた。

 安部周人くんの手が 大沼さんの制服の中で 胸をさわっていた。
 大沼さんの手は 安部周人くんのズボンの前をむさぶるように彷徨っていた。
 二人は 夢中になっていて わたしが引き戸を開けたことにも気がついていない。

 二人の手の位置が意味していることは わたしにだって わかる。



 ぐらり・・・と ゆれた・・・

 わたしの身体がゆれたのか 
 床がゆれたのか 
 世界がゆれたのか・・・

 後退さる、という言葉は知っていた。
 後退さる、という言葉の意味も 知っていた。
 それが どういうことなのかは その時に 知った。



 逃げ出した。現実から。
 涙も出なかった。


 恋が 死んだ。


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