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ネットのプリンス
第4章 不感症の女

最初のころはメール一つひとつに目を通し、
あまりの罵倒文句に憤慨したものだが、
こうして毎晩のように読んでいると、
慣れてきたのか今では気にもとめなくなってきた。


『はいはい、どうせわたしゃバカですよ』

コメントに対して悪態をつきながら一括削除しようとマウスをドラッグさせてゆく‥‥

だが、最後のメールに目をやって
慌てて削除作業をキャンセルした。


『私、まだイったことがないの‥‥
イかせてくれますか?』

来た!
洋介は心を弾ませながら返信文を入力した。

「お住まいはどこでしょうか?」

以前にも心をときめかせて交渉していて
話がまとまりそうになって
住まいを聞くと北海道だと告げられてガッカリした経緯があるだけに、
真っ先に居住地域を問うてみた。

今か今かと待てども返事は返ってこなかった。

時計を見ると、すでに午前様だった。

いくらなんでもこの時間まで起きてるとは考えられない・・・

いや、それとも単なる冷やかしか・・・

そう思ってメールソフトをシャットダウンさせようとマウスに手を伸ばしたその時…


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