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ネットのプリンス
第6章 秘書の女
「それが俺だったわけか・・・
会ってみてガッカリだろう?
その男が愛想をつかした元旦那だなんて・・・」
では、今回の契約はご破綻ということで・・・
洋介がそう決めつけてドアに向かって歩き出そうとするのを 友美の声が引き止めた。
「待って・・・け、契約は・・・成立よ!」
そう言って友美は洋介の背中に抱きついてきた。
「契約・・・成立?」
洋介は自分の耳を疑った。
そんな洋介の疑いの思いを打ち消すかのように、 友美は洋介の正面に回りこむと、
洋介の頬に両手を沿えて自ら唇を重ねてきた。
甘く清涼感のある吐息が鼻腔をくすぐる。
忘れかけていた妻の柔らかい唇・・・
「友美・・・」
久方ぶりに囁く妻の名前、
高まってくる欲情をぶつけるように
洋介は友美を抱きしめた。
妻は・・・こんなにも華奢な女性だったのか
そう思いながら背中を愛しむように
やさしく撫でた。
離婚して、精神的にきつかったのかもしれない。
そうさせたのは洋介自身なのだ。
後悔と自責の念がこみあがってくる。
洋介に抱きしめられながら、
友美は洋介の胸板に手を添えた。