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猫探偵の恋
第10章 エピローグ by洋平
部屋に帰ると、
マロンが嬉しそうに鳴く。

ん?
にゃーとしか聴こえない。


ボス猫に、
「名前はボスで良いよな?
あのさ、外に居たから、
シャンプーさせて?
爪も切らせて?
念の為、病院で健康診断もするよ?
俺がこの家では、ヌシだからね」

と言うと、
ちょっと不満そうな顔で、
「にゃん」と言った。

しょうがねえな。
そんな感じの言い方だったけど、
にゃんとしか聴こえない。

やっぱり、猫と話は出来なくなったままみたいだ。


大人しく浴室についてきて、
シャンプーをして、
タオルドライとドライヤーの低温なヤツにも文句を言わずにじっと耐えてた。

「さすが、ボスだな。
肝が座ってる」と言うと、

「にゃん」と答える。


「あら!
良い匂いになってる。
やっぱり王様みたいな風格ね!」とソファに座るまりんが言うと、
隣に座ってゴロゴロ喉を鳴らす。


「マロンの出産、いつ頃かしら?
心配だから獣医さんにお願いする?」


「うーん。
猫って、自分でちゃんと出産出来るんじゃない?」


「そう?
ボスも居るから大丈夫かしら?」


「それより、まりん!
まりんの妊娠の方が驚いたよ!!」


「検査薬で調べただけで…」


「明日、病院に行こうな?
さくらや美和さんが世話になった病院、
近くだからそこに行こう」


「ビックリさせたくて…
先に言えば良かった?」


「みんなも喜んでたから、良いよ。
それより、妊娠しててもセックス出来るのかな?」


「初めてだから、判んない。
明日、訊いてみましょ」


「キスは大丈夫だよね?」


そう言って、まりんを抱き締めて、額や頬、
そして唇にキスをした。


「夢みたいだ。
もう消えたりしないよね?
まりん、愛してるよ」


「私も!
これからはずっと一緒ね!」


「にゃー(俺達も一緒だぞ)」


「えっ?」


思わず、まりんと顔を見合わせて、
ボスを見ると、
ボスは知らん顔してマロンの毛繕いをしてる。


猫探偵をするほどは話は出来なくなってるけど、
時々、ボスの声だけは聴こえるのかもしれないな。


俺はもう一度、まりんをそっと抱き締めて、
キスをした。
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